机上の計算から、事業の課題を発見する
予想の数字は机上で作ったモノだけに夢を描きすぎることもある。しかし、どこかに無理があるとすれば、収支バランスからすぐに見つかるものだ。利益が出るはずのものがずっと赤字だったり、反対に利益が出過ぎるのもどこかおかしい。原因としてはどこかの経費を見逃しているケースが多い。
いくら頭の中ではうまくいくのではないかと予想してみても、実際に計算してみると利益が出ないということもよくあることだ。その理由の多くは経費を過少に見てしまっていることにある。中でも人件費が最大の経費になることを肝に銘じて欲しい。
実際、経費がゼロになることはあり得ないが、資金を投入するところと資金を投入しないところを徹底して区別するようにしよう。什器備品類などは中古でも十分だし、事務所については、持たなくても可能なのかを再考しよう。自宅や知人のところなどを間借りできないかなどの発想も忘れずに。出費の削れるところはどんどん削ろう。
1年間の生活費は、用意しておくこと
自己資金だけで即座に開業できるケースもあれば、開業時になにがしかの借り入れを必要とするケース、開業後に資金を必要とする場合も出てこよう。親兄弟などから借り入れができる人は良いのだが、そうでない人も多い。後者の場合、金融機関にお世話にならざるを得ない。今日の経済情勢、金融機関の体質悪化等による貸し渋りの波は、残念ながらまだ消えそうにない。
新規開業希望者に融資してくれるところは、国民金融公庫を除いて皆無に等しいくらいお寒いのが現状である。貸し渋り対策として98年10月より、信用保証協会の融資枠が拡大され申し込みが急増したが、対象となる企業は1年以上継続して事業を行っている企業であって、開業当初の企業は対象外だ。開業1年未満の事業所が融資を受けられるという制度がほとんど見あたらないというのが実態である。
ならば、数年後に独立しようと考えている人は、低金利下であっても地道に貯蓄に励むことだ。ハイリスク・ハイリターンの商品も今は遠慮しておこう。元本が減ったら元も子もない。
パソコンには慣れておこう 特に通信環境の整備は必須
インターネットとNIFTYは情報の宝庫であるがそれだけではない。うまく使えば、仲間ができる、自分を頂点とするネットワークも形成できる、仕事の依頼も来る、広告宣伝にも活用できる、商品やサービスを販売することもできる。これを活用しない手はない。
SOHOの実践者の方でも、情報を受けるだけ・メール交換程度で、自分の情報を外部に発信していない人が案外多いのには驚く。インターネットであればホームページだけでなく、ML(メーリングリスト)、NIFTYならビジネス系を含む各種フォーラムなどは宝の山だということを忘れてはならない。活かし方はいろいろある。どう活かすかはあなた次第だ。賢い人ほどうまく使いこなしている。
SOHOの弱点は営業だ。経営者がトップセールスマンだということを忘れてはならない。事業計画の中でおろそかにされがちなのも営業。この部分がしっかり描かれていないものが意外に多い。自分の受注構造を見つめ、徐々に受注額、受注企業数が拡大していけるよう、具体的な方策を考え、実行していただきたい。「通信」は営業力を補完できる低コストにして強い武器になりうることを念頭にとどめておこう。
独立を考え始めたら
お金を貯める以外にしておくといいことがある。一つは、銀行とのつきあい方の見直し。二つ目は複数のクレジットカードを持つこと。現在サラリーマンなら、給与等は指定した口座に振り込まれていることだろう。そのときの金融機関が問題なのだ。将来、融資も含めたつきあいを希望するなら、都銀偏重主義は危険だ。なぜなら、独立したら経営者と言っても企業規模は零細企業であり、リテール部門も重視してきているとは言っても若干敷居が高い。中小零細企業向けの金融機関としては信用金庫がお勧め。ヘタな地銀よりも財務体質の良い金庫も多い上に、親身に相談に乗ってくれる。とはいえ、普通預金通帳を作って給与振込、公共料金等の口座振替も移す、となれば面倒だ。そういう場合には、定期積み立て、定期預金あたりの取引から始めてはいかがだろう。融資の際、こうした取引の「ある・なし」などもしっかりチェックされているのだから。
カードの方は、発行までに各社各様の審査がある。退職してまだ職のない人、転職したばかり、自営業者になりたて、法人を立ち上げたばかり、引っ越しして間もないなどという人はカードの発行を認められないこともある。クレジット申し込み用紙に記入した割賦販売も同様である。今は、年会費無料、特典の多いカードも増加しているので、会社に在籍しているうちに複数のカードを所有しておいて損はない。
いざというときにはキャッシングできるし、パソコン等の設備を揃える際でも支払方法を選んだ上で分割払いができる。金利は銀行よりも高いが、融資を受けているような感覚でもある。不要になれば、解約すればよいのだから。開業後は、事業用の通帳を決済口座としたクレジットカードを作るといろいろと便利だ。金融機関と提携しているカードを営業マンを通じて申し込んでみよう(カード会社の会員増強キャンペーンにぶつかっていれば営業マンから言ってくるもの)。彼らにしてみれば、カード会員1件獲得というのも営業成績に加点されるので喜んで手続きをしてくれる。しかも、金融機関から申し込むので発行が容易になり、ユーザーにとってはありがたい。