● デザイン事務所を設立する
農業の方が軌道に乗り始めた頃、自宅を事務所として少しずつデザインの仕事を再開。もともとデザインの仕事が好きで、農業を始めても長年にわたって修得した技術を活かしたいと考えていた彼は、農閑期の比較的自由になる時間を使って、自宅のパソコンでこつこつと仕事をすることにした。会社を辞める前に、仕事仲間や得意先に仕事を紹介してもらえるよう声をかけておいたところ、梅干しも一段落した頃、以前在職していた会社から一件のデザインの依頼があった。
それは発電所や工場で使用される汎用計測器のデザインで、真造デザイン事務所の記念すべき最初の仕事となった。その後、知り合いの紹介で関西の技術系会社のカードターミナルのデザインや、その会社からの紹介の自動販売機のデザインなど順調に仕事が増えてきている。
ただし、田舎にいると、都会のように独りでに情報が入って来るわけではないので、彼は雑誌やカタログでの研究はもちろん、時には大阪や東京に出向いて、自分の目で新しいものを吸収しようとする努力を惜しまない。現在のところは農業と平行して、好きなデザインの仕事を田舎の自宅でできる環境に満足しているといった状況である。
● 梅、デザイン、家具と夢は拡がる
ここ数年の健康ブームのために紀州の梅干しは高級品としての知名度も高まってきている。しかし、最近中国や台湾産の安い輸入梅に押されて、本場紀州の梅の立場が脅かされる傾向にある。こうした輸入梅に対抗していくために、消費者へ直接販売することにより、高品質の紀州梅というブランドを確立させようと、インターネットでの直販やカタログの作成などを企画中。年内には、ホームページ上で真造農園の紀州梅干しの購入が可能となるはずである。
デザインの方は、紹介の形で拡がりを見せている。今後地元での顧客も開拓し、デザインの幅も工業関係主体からグラフィック系へも拡げていくつもりだ。地元の青年会議所の活動に参加するなど、多方面の人々と積極的に交流を深めている。
次の夢は、オリジナルの家具をデザインし自分で作ること。家を新築した際に部屋に合う家具がなかったからだと言う。農業とSOHOと家具作り、いつか同時に実現することを祈りたい。