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伊藤養鶏
澄んだ空と青々とした山に囲まれた兵庫県の中央部に位置する氷上郡。こののどかな田園風景のなかに伊藤養鶏がある。駅のタクシー乗り場で「伊藤養鶏まで」と言えば通じるほど、地元では有名になっている。
「伊藤養鶏」の始まりは両親の代からだが、伊藤さん自身はこの仕事をするなんて全く考えていなかったそうだ。
旅行はできないし、なんと言っても養鶏の大変さを子供の頃から身にしみて知っている。両親もまた、伊藤さんの継ぐ意志を聞いたときには大反対だったそうだ。
● きっかけはアメリカへの旅
バイクが好きという理由で゛自動車整備の仕事をしていた頃、自分の人生を見つめ直すために、アメリカへ放浪の旅に出かけたという。まずアメリカのロスに入りバイクを買い、カナダの国境を越えてバンクーバーへ。さらには、アラスカまで足を延ばした。
そこで見たものは、雄大な自然を破壊してゆく文明という暴力だった。
ある日、伊藤さんがバイクで走っていると霧が出てきた。しかし、それは霧ではなかった。パイプ工場から出る煙だったのだ。さらに、アラスカのような人のほとんど住まないような所にまで、人為の痕跡を見ることができた。一体、この世界の中で人間の手が入っていない地があるのだろうか。
このアメリカの旅は、自然の大切さを改めて教えてくれることになった。帰国後、一年ほど前に渡米するまで働いていた職場に戻りはしたが、自然にも人にも優しい卵を作ろうと考えて伊藤養鶏を継ぐことにした。それは今までとは全く違う方法で。