有限会社よりもはるかに有利な合名会社・合資会社
有限会社の設立ガイドブックを開くと、株式会社に比べていかに有限会社が有利かを得々と述べている。個人で独立起業を考える人は「有限会社にすべき」と断言している本も少なくない。いったい有限会社のどこが有利だと言うのだろうか。
従来の会社設立ガイドブックにはその根拠として次のような三点を挙げている。
●株式会社よりも資本金が少なくて設立できる
●株式会社よりも設立手続きが簡単である
●株式会社よりも運営が容易である
実は、これら3点すべてについて、個人起業家にとっては、有限会社よりもはるかに合名会社・合資会社のほうが有利なのだ。
まず第一に資本金。有限会社は最低300万円必要だが、合名会社、合資会社なら最低資本金の縛りなし。また、会社運営面 でも、監査役はもちろん取締役すら置かなくてよく、社員総会も開かなくていい合名・合資会社のほうが有限会社などよりもずっとラク。
さらに設立手続きでは、有限会社に必須の定款の認証や出資金保管証明書発行手続きといっためんどうなが一切省略されている合名・合資会社のほうがはるかにカンタン。
ちなみに、私が資本金1万円の「合資会社日向咲嗣事務所」の設立に要した時間は延べ11時間。かかった費用は登記に必要な印紙代6万円と印鑑代などで、合計7万円であった。
では、そもそも合名会社、合資会社とはいかなる組織なのだろうか。まず、合名会社(英語ではパートナーシップと呼ぶ)とは、2人以上の人間が資本を出しあって共同でひとつの会社を経営する組織形態をさす。
最大の特徴は、メンバー全員が会社の経営者イコール出資者(無限責任社員と呼ぶ)であることで、会社の債務に対してはこれまたメンバー全員が連帯して出資額を超えた責任を負わねばならない。したがって、合名会社とは、強い信頼関係で結ばれた親族や仲のいい友人同士で資本を出し合ってつくる最も原始的な会社組織であるといえる。