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ネット通販

心斎橋みや竹
老舗の看板を維持するために、傘のインターネット通 販に挑戦

自宅に店舗を移しネット通販を開始

 宮武和広氏は、大阪心斎橋で100年もの歴史を誇った、傘の老舗「心斎橋みや竹」の4代目だ。しかし、その心斎橋の店は昨年の1月をもって暖簾を閉じた。心斎橋といえば大阪で最もにぎやかな繁華街だが、消費分散化と不況の影響で、商店街であっても集客に困るようになった。傘という商品の特性に依存していることもあり、季節によって売上も大きく変化する。

 心斎橋店は借地していたので、その家賃が月に二百数十万円、それに社員6人とパートの人の人件費、税金などが発生し、月商約1500万円は確保しなければならない。しかも、1カ月の中で随時仕入れをしていく必要がある。この仕入れ代金が、一度に何十万円、場合によっては何百万円ということもあった。ところが、実際の売上は700万円から1000万円を推移しており、店舗の維持は難しくなってきた。

 そこで宮武氏は、インターネットを使った、傘の通信販売に活路を求めたのだ。昨年の3月には、郊外の住宅街にある自宅へ店舗を移転した。3階建て住宅の1階の一部を店舗として使用し、通 信販売の傍ら店舗販売も行っている。現在の店舗スペースは約10坪で、心斎橋店の64坪から比べると格段に狭い。しかし、家賃だけでも大幅な経費削減となり、現在の店舗は、月商300万円もあれば維持できる。社員も宮武さんと夫人の二人だけだ。

 インターネット通販では、当然のこと、宮武さんが開設したホームページを見て客は商品を注文することになる。では、何か広告宣伝や営業活動を行っているのだろうか。

 宮武氏は言う。
「世間で言うところの広告宣伝や営業はほとんどしていません。インターネットはいわば“口コミ”の媒体なのです。一人のお客さんに満足していただければ、それが10人に伝わる。その一人ひとりがまた10人にというように」

 客の満足を得るために同店では、商品の送料を無料としている他、購入3カ月以内の無料修理や未使用品の返品などにも応じている。

 これまでの心斎橋店では、客に商品を売ること以外の、家主や国、商店街などに支払う経費が大きすぎた。店舗を移して削減された経費分を、客へ還元するという発想からこのようなサービスを展開している。これらのサービスが広告宣伝の代わりとなり、現在では、インターネットを通 じた売上だけで1カ月150万〜170万円に及ぶ。この他に、店舗販売の売上が約60万円あり、当面の目標の300万円にはわずかに及ばないものの、スタートして1年、順調な伸びを示しているといえよう。

客とのコミュニケーションに電子メールを活用

 成功の理由の一つに電子メールの活用が挙げられる。注文した商品が指定した期日に届くというのは、あくまでもアメリカ型のインターネット通 販で、日本では、専門知識を聞きながら買い物を楽しむ傾向があるという。だから、宮武氏はこまめに電子メールで客の質問に答えている。インターネット通 販では、うんちくが求められ、商品に対する深い知識と愛情があるかが、商売の成否を左右するといってもいいだろう。「何屋さん」と呼ばれる人たちが求められているわけだ。

 人々は、街にある専門店において店員たちとの会話をしながら買い物をすることにいつしか疎ましさを感じはじめ、自由に見てまわれる大型店を好むようになった。しかしここへきて、店側の人との会話を楽しみたいという人も増えてきているのだろう。24時間自宅に居ながらにしていくらでも商品を見ることができ、しかも、客が望む時はインタラクティブに対応してくれるインターネット通販は、大型店と従来の専門店の良さを兼ね備えていることになる。

 専門店が、インターネット上で復活を果たしつつあり、しかも、インターネットを利用することで、経費を抑えたSOHO的経営も可能となっているのだ。

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