子供たちに良い本を読んでもらう強い願望が独立のモチーフ (お仕事講座(自立独立開業ガイド))
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子供たちに良い本を読んでもらう強い願望が独立のモチーフ

供たちに良い本を読んでもらう強い願望が独立のモチーフ

子供の本屋ピッピ 代表/太刀川正子さん

大人も子供も集うコミュニティスペースにお店が変化

 「私自身は本のない時代に育ったので、本については思い入れが強いんです。良い本に出会う喜びや感動には素晴しいものがあります。子供と一緒に本を読んでいたら、私のほうが夢中になってしまい、子供たちに良い本をたくさん読んでもらいたいと思うようになったんです」

 太刀川さんが経営する「ピッピ」は子供専門の本屋さんである。店名の「ピッピ」はスウェーデンの女流作家リンドグレーの「長くつ下のピッピ」に登場する正義感の強いお転婆な女の子の名前に由来している。

 太刀川さんは16年間某TV局に勤めていたが、当時幼かった子供を連れて団地にある図書室に通 っていたことが、子供のための本の専門店づくりの大きなきっかけになった。

 子供専門の本屋さんを経営する決心を固めた太刀川さんは、1年近くかけて店舗を開く場所探しに奔走した。その合間を縫って子供の本や絵本を徹底的に読み耽り、今後仕入れるべき本を選ぶ作業に没頭した。

 TV局を退職する1カ月前に有給休暇を取って仕入先の出版社への挨拶回りを済ませ、念願の店をオープンすることにこぎつけた。退職金から開業資金300万円と運転資金100万円を捻出したが、店の敷金、家賃、改築や本の仕入れなどで使い切った。

 「運転資金が1年でなくなった時にはどうしようかと思いました。それでかなり家計や運営費用を切り詰めて、なんとか軌道に乗せました」

 赤字覚悟で始めた商売だったが、「ゴタゴタ荘会議」という読書会や「ぱたぽんの会」という母と子の本を読む会を、それぞれ月一回開くなどの熱心な活動が評判になり、次第に「ピッピ」ファンを増やすことにつながった。

  とくに開店後半年してから始めた読書会「ゴタゴタ荘会議」には、読書好きな人たちが口コミで集まるようになり、「ピッピ」を支える大きな原動力となっている。

 オープン当初、東京・お茶の水にあった「ピッピ」は9年後に現在の文京区・小石川に移転してすでに11年。子供のための良い本を求める人たちが集う場所になっている。

 現在の店舗は、店の奥が喫茶スペースになっていることもあり、太刀川さんとお客さんが本について、あるいは子育て論に話がはずむことも多い。

 「お茶を飲みながら、本の話題や子育てのとことなどじっくり話せるところがいいのかも知れませんね。老若男女を問わずいろいろな方がいらっしゃいますよ」

 「ピッピ」は単なる子供の本屋さんというより、もはや人々が普段着で交流する場としての役割を果 たす空間ともいえる。

 自分の好みの本にこだわっていた太刀川さんだが、最近ではTVなどで人気のある本を置くようになった。子供が本好きになるきっかけをつくるためである。

 子供たちに少しでも本を手にとってもらうには、やはり人気キャラクターが登場する本を揃えることも必要な手段である。

 太刀川さんが「ピッピ」を始めて実感したことは、子供たちが自由さやエネルギーのある世界が本質的に好きであるということだった。

「子供たちの気持ちが楽しくなって解放される本、そして子供たちの心の中にずっと残り続けるよう本を売っていきたいですね」

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