溶けたガラスに息を吹き込む
手作りガラスの温もり/硝子工房・21 勝本一美さん
夏の工房内は50度C以上
最初は陶芸に興味があったそうだ。美術雑誌に載っていた広告を見たのがきっかけで、ガラス教室に通うようになった。後に教室のスタッフにも採用されて、仕事を兼ねて勉強もできるという環境になった。
窯を有する工房を開いて約2年半。宙吹きという技法で、現在は花器、グラスなどのテーブルウェアをメインに制作している。窯は補修の時以外、火を落とせない。初夏には工房内の温度計が振り切れることもあるとか。そのため、7月に入ると工房内での制作は一切しない。
ちょうど、夏場はガラスの企画展を開く画廊が多いため、作品の発表の時期となる。クラフト展なども含めると、年間30回ぐらいの出展に及ぶ。自身で営業をした所はこれまでに1軒だけで、他は出展した所からの紹介や実際に作品を見た画廊の人に招かれることで活動の場を広げてきた。また、勝本さんの作品を常設しているギャラリーは、関東を中心に5軒。そこでは定期的に入れ替えられる新作を見ることができる。
これほど引き込まれる手作りガラスの魅力とは何か。
「厚みがあって奥行がある分、温もりがあります。それに、全く同じ形の物ができないのも魅力です。」
勝本さんは自分で作ったグラスを手にして言った。
使いやすいのは、気取らないガラスウェア
生活の中に溶け込むような、気軽に使えるガラスウェアでありたいと勝本さんは考えている。検品した結果、商品としなかった作品は自分の生活の中で息づいている。飾って眺めているのではなく、自身で使っているからこそ、使い易さを追究できるのだろう。展示即売会での購入者は、大部分が女性だというのも納得できる。
最近では、制作工程を楽しむ傾向がますます強まっている、と勝本さんは打ち明ける。色や気泡を施したり、形を少し複雑にしたり、故意に不安定な形状に挑戦したりと、工夫を凝らしながらガラスに息を吹き込むのだそうだ。
「空気を入れるブロー物が、作っていて一番楽しいですよ。」
という言葉から、勝本さんのガラスに対する情熱が強く感じられる。