家庭と仕事の両立を目指して
派遣会社を120%活用したパワフルダブルワーカー、それが壺井深雪さんだ。壷井さんは現在パソコンインストラクターとして企業に出向く仕事と、自宅でのデータエントリー業務の両方をこなしているダブルワーカーだ。
「女性の場合、長い人生の中で時に外に働きに出られなくなる状況が訪れることが、少なからずあると思うんです」壺井さんが在宅と企業派遣というダブルワークをこなすようになったのは、実は仕事と家庭の両立という問題からだった。3番目のお子さんが5歳の時に離婚し、女手一つで一家の生活すべてを背負うことに。しかも末のお子さんには持病があり、病院通いも欠かせなかった。
「入通院の必要がある時などは在宅、外に出られる時は企業へというスタイル」に自然と落ち着いていったと語る。
派遣会社をフル活用
こうした壷井さんのワークスタイルを支えているのが、実は派遣会社だ。
「どこかの会社に正社員として勤めようと思ったこともありました」という壷井さんだが、日本の企業の場合、まだまだプラスアルファーの部分、つまり年齢や子育て中であるといった仕事の実力以外の面で評価されてしまう部分があることも否定できない。しかも「正社員になってしまうと子どもが入院の度に休みますというわけにもいかないですし」といった事情もあり、純粋に仕事の能力で評価をしてくれ、自分や家族の状況に合わせてフレキシブルに働ける道を模索した結果、たどり着いたのが派遣社員という道だったという。
「最初はやはり時給の高さが魅力で応募しましたが、当時は今ほど派遣というスタイルが一般的ではなかったので不安もありました。でも最初に応対にあたってくださった方が本当に親身になって対応してくださり、これは大丈夫と思いましたね」。
以前、壺井さんは日商1級の腕前を生かし在宅で和文タイピストの仕事をこなしていた。その時は営業活動から納品までを、全部自分でこなさなければならなかった。しかし同じ在宅ワークでも、派遣会社を利用することでそうした煩雑な作業にわずらわされずにすむ。また、「自分一人でやっていると、例えば子どもが病気になった時でも代わりの人がいないので対応できません。でも今ならその日の都合に合わせて派遣会社の方で調整してくれるから安心です」という利点もあるようだ。
現在、壷井さんはスケジュールを事前に派遣会社に提出し、それに合わせて仕事を割り振ってもらうというスタイルをとっている。また気になる収入の面だが、最近特に賃金が下落しているといわれる在宅での入力業務でも、「派遣会社の仕事の場合、相場に見合ったものが確実にもらえる」というメリットに加え、「細かいサポートや徹底した研修システムが受けられるという点も見逃せないですね。特に研修に関しては、常に私たちのニーズに耳を傾けてくれ、今必要としている研修を廉価で、タイムリーに提供してくれます」壺井さんは派遣会社利用のメリットも知っている。
例えば壷井さんはMOT(マイクロソフトオフィシャルトレーナー)の資格を取得しているが、一般の学校で講座を受けると大体40万円位かかるところを、派遣会社の講座を利用したおかげで約半分の値段で取得できたという。
しかしこうした派遣会社のメリットをフルに活用するためには、まずは「選ばれる派遣社員」になる必要がある。その点を壺井さんの登録先である(株)パソナの半田さんにお聞きすると、「結局は仕事に対する責任感など、社会人としての常識を持っているかが重要なんです。いかに安心してまかせられるか、それがポイントと言えますね」という答えが返ってきた。つまり壺井さんが派遣システムのメリットをフルに活用してダブルワークをこなしていけるのも、常にスキルアップに励み、責任をもって仕事をこなしてきた姿勢があったからといえる。
安易なSOHOブームに警鐘
現在「インストラクターとオペレーションの仕事の比率は9:1」と話す壺井さんだが、外での仕事をこなすメリットを、「人に教えることで自分も勉強できますし、企業に出向くことで今どんな技術、知識が必要とされているのか肌で感じることができる点」と語る。またこの企業派遣での経験は、実は現在の在宅ワークの中でも充分生かされている。壷井さんが派遣で働き始めた当初はまだまだワープロが主流で、派遣される企業ごとに機種が違っていた。そのため「いつのまにかどんな機種でも操作できるようになってしまいました」というメリットを生かし、ワープロからワード、一太郎へのコンバートの仕事もこなしている。「外の仕事と在宅の仕事が重なった時は、きついと感じる時もあります」と時間的な面では、ダブルワークの難しさも実感しているようだ。
また現在特に子育て中の主婦に広がる安易なSOHOブームに対しては、ベテラン在宅ワーカーとして、そして母親としての立場から、「家事や育児の間に仕事ができると思っているとしたらそれは間違いです」と苦言を呈する。「私の場合、たとえ家にいても仕事中は家事などは一切しません。またなにがあっても納期が遅れることのないよう、マシンは2台用意し、バージョンアップやメンテナンスにも投資を惜しみません。また外部でもいつでもマシンを使わせてもらえる場所を確保するなど、バックアップにも常に気を配っています」と、仕事に対する姿勢の厳しさをうかがわせる。実際「在宅ワーク希望者が我が家に遊びに来ると、ひっきりなしになる電話やFAXに、とても家事や育児の片手間にできる仕事ではないという現実をわかって下さるようです」。
いつまでも第一線で
「派遣先でご一緒させていただく派遣ワーカーの中には、50代になってもバリバリ働いてらっしゃる素敵な女性もいらっしゃいます。私も常にレベルアップに励んで、いくつになっても輝きながら仕事をしていきたいと思っています」と意欲的な壺井さん、まさにダブルワーカーの、そして働く母親のお手本的女性といえる。