小さな出版社でベストセラー (お仕事講座(自立独立開業ガイド))
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小さな出版社でベストセラー

世界初!「出版ファンド」を考案した出版社
レゾナンス出版

 レゾナンス出版の近藤正純ロバート社長には、もともと出版社を作りたいという気持ちはなかった。人生の転機が訪れたのは、日本興業銀行の社員としてMBA取得のためにアメリカ留学したときだった。アメリカの大学には様々な価値観を持った人間が集まって来ており、彼らとの交流を深めていくうちに、いい大学を出ていい会社に就職をするという日本的な価値観の中でこれまで生きてきたことに疑問を感じたのだ。

 近藤社長は言う。「ミスチルがCDを出すと、一〇〇万枚以上も売れることがあります。彼らの歌にはメッセージがあり、それに共感する人たちが確実にいるわけです。彼らだけでなく、多くの知識人たちも今の時代に対してメッセージを発信しています。私たちはそれをサポートしたかったのです」

 株式のチャート分析書「一目均衡表」を著した一目山人を祖父に持つ近藤社長は、人生の指南書でもある「一目均衡表」を再販し、世間にメッセージを伝えたいという思いから今年三月に出版社を設立した。ゆくゆくは、知識人たちのマネージメントを行うプロダクション的な機能も備えていくつもりだ。

 興銀時代の同僚でアメリカ留学も一緒だった高畑龍一氏と、講談社で「フォレストガンプ」や「ワイルドスワン」などのミリオンセラーの編集に関わった磯尾克行氏が、会社の中核メンバーとなっている。


● 独自の方法で資金繰り

 記念すべき出版第一弾となったのは、米国公認会計士(CPA)をはじめとした海外資格の専門学校「ANJOインターナショナル」の校長である安生浩太郎氏が人生哲学を説く「成功術X(エックス)でいこう」だ。

 新生の出版社が本を発行するには、越えなければならないハードルがいくつもある。その中でも、出版コードの取得と資金繰りというハードルは高い。ところが同社は三日で出版コードを取得してしまう。親交のあった印刷会社からの紹介があったとはいえ、他分野からの参入が珍しかったことや出版界の活性化になる可能性が高いことなどが、コード取得の決め手になったのではないかと同社では分析している。

 もう一つのハードルである資金繰りに関しても同社では新たな工夫を施した。通常、本の売上金が出版社に入るのは、発行から半年後になる。つまり出版社にとって資金繰りが難しいのは、印刷費や制作費が売上金の入金よりも先に発生してしまうからだ。そこで同社では、印刷会社と交渉し、印刷代の支払いを半年後にしてもらい、著者やデザイナー、カメラマンに支払うギャラは印税契約として、売上金の入金と、印刷費や制作費の支払いとの間のタイムラグを埋めた。

 「成功術X(エックス)でいこう」は、今年の四月末に初刷五〇〇〇部で発行され、現在では三〇〇〇部が増刷されている。成功の要因として、著者が運営するスクールの広告に併せて本の宣伝をするというクロスメディアの手法を用いたことや、書店に対して売上増になるような提案をしながら営業を行ったことなどが挙げられるだろう。

 
● 「出版ファンド」による資金集めに成功

 現在は、第二弾「オンリーワン」に力を入れている。この本は、慶応大学の島田晴雄教授と、安室奈美恵やスピードなどの人気アイドルを輩出している沖縄アクターズスクールの校長・マキノ正幸氏との共著による異色の教育論だ。しかも、投資家から資金を募って出版資金を捻出するという「出版ファンド」により発行が実現した。アメリカなどに見られる、映画業界のファンドは一般的だが、出版界では珍しく、恐らく世界で初めてであろう。

「大手出版社は、資金はあるが一つの作品に対するこだわりは少ない。中小の出版社はその逆です。我々はその中間を目指します」(近藤社長)

 「オンリーワン」も、書店のリニューアル時を利用してのイベント開催など、ユニークな営業を展開し、好調に売れている。出版ファンドで集めた資金を用いて、年内にあと三冊の発行を目指す。

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