果たして「主夫」になってしまうのか、これからが正念場かな。
ガラス工房・健(たける)西口 芳隆さん(41歳)—堺市
自宅のガレージを工房代わりに、エッチングガラスの作家としてスタートしてから半年近くになる。その間、ワイングラスやプレート、住宅用のインテリアガラスなど、さまざまなものを作ってきた。自分なりに技術を高め、ひとつひとつの作品のレベルも上がったように思うし、満足できるものも少なくない。しかし、収入面は思うようにならない毎日だ。
「エッチングガラスそのものが一般にはよく知られていないということもありますが、仕事の流れはあまりよくないんです。制作の依頼は友人や知人を通じての口コミがほとんど。DMを出したこともありませんし…」
そう言いながら、西口芳隆さんは申しわけなさそうに笑った。今年で41歳になるが、その表情にはどこか少年のようなあどけなさが残る。
小さい時から機械いじりが好きだったという西口さんは、愛媛大学工学部を卒業後、プラスチック成形のメーカーで金型設計の仕事に従事したが、目を悪くして7年で退社。その後、建設コンサルタント会社に再就職し、事故調査の仕事につくが、分野の違いが大きかったせいか、10年目を迎える頃から「自分の手で何か作り出す仕事をしたいな」と思うようになり、脱サラを決心した。収入の見通しがつかなくなることを予感して奥さんの美恵子さんは猛然と反対するが、ご主人は「主夫でも何でもするから、頼むわ」と説得する…。そして在宅ワークに選んだのが、エッチングガラスの制作だった。
「以前に雑誌でエッチングガラスの作品を見て、その美しさに魅かれたことと、日用品からインテリアまで幅広い需要があるだろうと思い、自分で新しい仕事を始めるとしたらこれしかないと決めたんです」