常に緊張感を伴う仕事がしたい
山縣英則さん(55才)
サラリーマンとして定年がそう先のことではなくなった時、「先が見えた、というのでしょうか。このままレールに乗っていても面白くない、今ならまだ何かできるかもしれないと思ったのです」と言う山縣英則さん(55才・情報通信関係会社勤務)は、組織を離れて一度は自分の力を試してみたいと、数年前に独立を考え始めた。
● 今ならまだ何かできるかもしれない
山縣さんは38歳の時、中小企業診断士の資格を取得した。「システムエンジニアとしてお客様と会ううちに、その企業の業務や経営についてある程度知識がないとプログラムは作れない」と痛感したからだった。その時一緒に診断士として登録した仲間達の多くはすでに経営コンサルタントとして独立、現在は多方面で活躍している。そこで、その仲間に独立の相談をしたところ、「お前には何ができるんだ?」という言葉が返ってきた。
「自分の本当にやりたいこととは、自分にできることとは、そのためには今何をしなければならないのか」を整理し、今後のスケジュールを立てることから山縣さんの独立の準備は始まった。
● 経営コンサルタントとしての知識、技術を得るために猛勉強中
「コンサルタントは最終的には知力よりも体力勝負」なので一日も早く独立はしたいが、やはり充分な準備期間を考えて、目標は2年後とのこと。
現在は、月に一度開催される「経営コンサルタント養成塾」に通っている。そこでは毎回山のような宿題が出されるため、出勤前の時間を利用して必要な本を読んだり、パソコンで情報を収集する。また、平日は会社勤務終了後、中小企業診断士の仲間との勉強会に参加している。それも4グループをかけもちである。
一方、勉強以外にも色々と忙しい。週末にプール通い、「1週間のいやな事を水に流す」。また、土曜日早朝の英語研究会に参加したり、異業種の仲間で作っている勉強会では夢や未来を語り合う。これらの時間を楽しむ余裕を持ち、生活に変化をつけることが、「修行」を乗り切る秘訣なのかもしれない。
先日、高校の時の同級生に卒業以来偶然に出会った時のこと。今自分はこんな風に忙しい毎日を送っていると話したところ、「今更そんなことを考えているのはお前くらいじゃないの!」と言われたと山縣さんはおかしそうに笑った。
● 常に緊張感を伴う現役でいたい
「人はそれぞれ、価値観や生き方に対する考え方が違っていて、いい、悪いなんてありませんが、自分は何もやらない方を選ばなかったのです。いつまでも現役でいたい。現役とは、常に緊張感を伴う仕事ができることだと思います。」
と、言葉を選ぶように静かに語る口調の中に強い決意が感じられる。
今や平均寿命が延び、働き盛りと言われる年齢の幅も広がってきたはずだった。しかしながら現在不況は深刻となり、リストラ、倒産、再就職の困難と言う厳しい現実が日本を襲っている。そんな中、環境や現状を受身で耐えるばかりではなく、山縣さんのように自分の「本当にやりたいこと」に向かって努力することを諦めない生き方は、今何か行動を起こそうと考えているオトーサン達にとって、ひとつの励みになる。
明日に架ける話
山縣さんの場合、長年携わってきた情報通信の技術や知識を生かし、物流関係の企業を中心とした経営コンサルタントとして独立を目指している。
独立開業に当たっての一番のポイントはクライアントの獲得である。そのためには、専門とする分野を絞り込み、自分の商品を開発しなければならない。現在は物流関連の情報収集に力を入れている。
物流関係に注目した理由は、今後大きく変化していく余地のある分野であり、また自分の持つコンピューターの知識を十分に生かせると確信したため。
ネットワークの大切さは言うまでもない。都内でも3,000人弱の中小企業診断士がおり、それぞれグループ単位で勉強会を実施している。お互いの知識の吸収、情報の交換、講師を招いての勉強を目的とする会への参加は、誰がどういう事を行ない、考えているかが分るという点でも有意義であり、自分にとってよい先生、理想像を見つける上にも重要な場所である。また、異業種の人達との勉強会では、同業者同士では話し難いことも素直に語り合えるという利点がある。
有限会社設立を考えて、開業資金は300万円程度を予定。目標は、60代でサラリーマン時代の最高年収に到達すること。