食用廃油からの石鹸作りで環境を考える
廃油リサイクルの会『八郎湖』
秋田県南秋田郡大潟村西3−4−22
TEL:0185-45-2916 FAX:0185-45-3143
・粉石鹸「太郎のゆめ」 1、3、10kg ・キッチン 太郎のゆめ 230g
・固形石鹸 200g ・10,000リットル(ドラム缶50本分) ・18,030kg
<H10.8.10現在>
● 「ゴルフ場反対!」が、石鹸作りの始まり
秋田県の大潟村に、ゴルフ場建設の計画が持ち上がったのは平成元年。
日本第二の八郎湖を干拓してできた土地のために、大潟村は農業用水も飲料水も八郎湖を利用している。つまり、自分たちで汚した水は自分たちに返ってくるのだ。自然浄化作用を持たない閉鎖水系の仕組みを考えて、村民の生命を守るため、そして食糧を生産する者としての使命を感じて、村の農家は建設反対の立場で団結した。
その甲斐あって、ゴルフ場の計画は中止に。これを機に、運動に参加していた『美しき八郎湖を残す会』のメンバーが中心になって、八郎湖の環境を保全する方法を模索し始めた。
そして考え出されたのが、食用の廃油を利用しての石鹸作りだ。人づてに石鹸の作り方を教えてもらい、メンバーたちは計画を実現に向けて着々と進めていった。平成2年2月、固形石鹸を試験的に作ってみる。200gの石鹸が50個できた。
「手作りの石鹸で、服の泥や油の汚れがきれいに落ちて驚きました。」
と語るのは会の初代代表の田中さん。
洗濯は勿論、スポンジに付ければ食器の油汚れも洗えると好評だった。
翌年2月、メンバーは千葉県柏市と福島県いわき市にあるそれぞれの石鹸関連施設で、粉石鹸の製造方法を学んでいる。研修後に廃油リサイクルの会『八郎湖』を正式に発足させた。
会員はみな農家の主婦である。雪解けの頃から田植えが終わる5月中旬までの農繁期は、『八郎湖』の活動は休止されるのが原則だ。それでも本格的な活動を前に、加熱時間の調整や廃油の変化の見極め方などの実践的な技術や知識は、自分たちで調べたり試行錯誤をしながら習得した。
設備も整い、会員の農作業が一段落した6月、プラントを試運転する。会員たちは加熱や撹拌、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウムなどの薬品を加える工程をクリアしていく。作業を始めてから約4時間。下からバーナーで炊いている釜には、白い石鹸の塊ができてくる。これを粉砕して2週間ほど自然乾燥させると、 38kgの粉石鹸ができあがった。
● 環境への想いを込めたネーミング
これに伴って粉石鹸の商品名を一般から公募する。多数の応募から選ばれたのは「太郎のゆめ」。伝説「八郎太郎」に由来するこの名前には、自然のままの八郎湖を残したいという村の人たちの想いも込められているという。
現在、会で作っている廃油リサイクル石鹸は3種類ある。そのうち粉石鹸「太郎のゆめ」は、日本環境協会からエコマークの使用を認められている。「私たちが作った石鹸を通して、多くの方に環境に対する関心を持ってもらいたいのです。」
と現代表の川崎さんは話す。
確かな目的意識を持った市民レベルでの活動。農繁期には活動を休止し、農閑期の石鹸作りは二人ずつ組んで都合のいい日に行う。無理をしないことが、活動を長く続ける秘訣なのだろう。また、環境保全型農業を推進するJA大潟村が、会の活動を評価、支援してくれていることも心強い。
稲刈りも終わる10月末、『八郎湖』の活動は本格的に再開される